【不動産の分割の難しさ|不動産相続コラム】

現金は分けやすいが、不動産は難しい

不動産を公平に分けるなら、売却して現金を分けるのが一番簡単で確実。

 

不動産のまま公平に分けるのは至難の技です。

 

このページではその理由を解説しています。

 

理由1: 環境と一体をなし、同じものがない

土地というのは工業製品と違って、一つとして同じものがありません。

 

この特性を強めているのが、土地と周囲の環境との分かちがたい結びつきです。

 

公共交通機関に近く、買い物や遊びにも便利で病院も近い環境。

 

不便で騒音が激しく、近くに嫌悪施設(ゴミ処理場、工場、墓地など)がある環境。

 

同じ30坪の土地でも、周囲の環境によって価値が全く違います。

 

土地は別の環境に移動させるということができません。

 

周辺環境というどうしようもない差異を解消して平等に分けるのは至難の技です。

 

理由2: 地価に大きな差がある

例えば「比較的街中の便利な立地で、周辺環境も快適な40坪の住宅」が2つあるとします。

 

建物の築年数やグレードも同様なら、居住するには似たようなものです。

 

しかし、片方は東京で片方は鹿児島だとしたら、売却金額は極端な差がでます。

 

ある税理士の本を読んでいたら、こんな例がでてきました。

 

父の死後の遺産分割で、長男は名古屋の家を、次男は東京の家を納得して相続。

 

ところがその後に母が死んで二次相続になった時、長男は弁護士を立てて攻撃的な姿勢で臨んできた。

 

地価で2倍の差があると周囲に言われ、「損をさせられた」との恨みを抱いて、今回はそれを取り返そうとしてきたのです。

 

いったんは公平だと納得しても、長い年月が経って売却することになった時、相続人の間で大きな亀裂が生まれ得る好例です。

 

理由3: 一つの土地も平等に分けるのは困難

上の例は違う場所にある複数の不動産の分け方の話でしたが、一つの土地を分筆して分けるのですら、公平感の確保は困難です。

 

  • 片方は道路に面して便利で、片方は奥まって不便。
  • 片方は南向きで日当たりがよく、片方は北向き。
  • 片方は工場に隣接してしまう。

 

・・・といったことになりやすいからです。

 

理由4: 居住用の自宅のみの場合も問題大

相続する不動産が自宅のみで、相続人がそこに住む場合も大きな問題があります。

 

相続人が母と子一人とかだったら、いずれは同居が必要なので一緒に暮らせばよい。

 

しかし、兄弟夫婦が一緒に暮らすというのは、なかなか難しいことが多いです。

 

兄弟の一人だけが住むなら、他の兄弟はお金の見返りがないと納得できない。

 

金融資産がたっぷりあれば、他の兄弟は現金で受け取ることにすれば解決します。

 

しかし、そうではない場合は、自宅を売却して現金化した上で分けるほか、円満な解決はありえません。

 

理由5: 建物の部分的分割も将来の火種

一つの建物を分ける方法もあるにはあります。

 

マンションの1〜2階と3〜4階とか、東半分と西半分といった分け方です。

 

しかし、共用部分の負担や建て替えをどうするかなどで将来もめる危険性が大きいです。

 

 

 

このように、不動産を不動産のまま分けていては、何をやっても相続人の間でもめる危険があるのです。

 

理想はすべて売却して、現金で分けてしまうことだと思います。